短歌 巻2

1.いつか来る終わりという日を知りながら妻と二人の稽古場掃除
2.ピッチャーの顔半分に西日さし目だけが白く捕手を見つめる
3.筋肉の塊が空飛ぶごとく4回転してハンマーを投げる
4.砲丸を首に抱き寄せ腕を折る息を吸い込みステップを踏む
5.眼鏡かけマスクを被り屈みコムキャッチャー古田まだまだ惜しい
6.我一人熊野路行けば山間に粛々と霧立ちてをり
7.熊野路に霧覆いきて読経の流れるような山沿いの村
8.誰のため生きているのか娘に問われ思わず見合す妻と我は
9.髭剃りて初日をみれば雲かかり理科の法則教えてをりぬ
10.話しても無駄な人だと思いつつ事の経過を簡単に述ぶ