短歌 巻4

1.歩み来て岬の果てに立ちをれば海の青さに漂える吾
2.鈴なりに重なり落ちる蝉の声生きるすべてを出し切りながら
3.行きばなき子らを集めて道場でボクシングする稽古なき日に
4.手を叩き足を蹴り上げ仁王顔ゴールキーパーグランドに立つ
5.触れて撫で鯨励まし沖へ引く網は延びゆき荒波の中
6.冬晴れの冷たき朝の道場は畳滑りて受け身危なし
7.湧くごとく言葉の波が押し寄せて少女らの声闇より聞ゆ
8.人は皆高きに上り見ハルカス大阪湾は手のうち にあり
9.「学生時代」橋のたもとで歌い終え別れてゆきて50年過ぐ
10.旅客機が何度落ちても空港の仕事をしたいと教え子が言う