短歌 巻1

1.雀の子抱きつつ歩む子を追いてみんな口々意見を述べる
2.振り向きてガラスに映る娘の肩は右に傾き嘘つくときは
3.車に乗ればたちまち眠る癖いまだ残りて娘は18になる
4.ゆったりと足で喉かき白鷺が止まる水門雨降りの後
5.地中より地下鉄走る音聞きて背伸びしてみる公園の中
6.「結婚しました」玄関に立ち教え子が照れくさそうに新婦を招く
7.突然の寒冷前線襲い来て平衡感覚鈍りゆく我
8.踏み切りの警報音が好きだった息子も人並みの親となりたり
9.両足に人工膝を埋め込みて光輝く歩道ゆく母
10.人は皆孤独なものと思いつつ孤独になれずメール打つなり